豊橋妖怪とは?

毛脚

 「豊橋妖怪」には、豊橋に伝わる妖しいモノ、怪異なコトだけでなく、神さま、お地蔵さま、観音さま、幽霊たちが登場する。豊橋の『怪』が勢ぞろいである。

 

 「妖怪」というと、一般的に「この世ならざるもの」「祟たるもの」「恐そろしいもの」を想像する人が多いだろう。たとえば、河童、座敷わらし、雪女、轆轤首、一つ目め小僧、のっぺらぼう、などである。

 

 とすると、「豊橋妖怪」は一般的なイメージとしての

「豊橋 に伝わる《妖怪》」ではない。どちらかというと、

「豊橋に伝わる《怪》」に近い。

 

 ではここで、「怪」と「妖怪」について、少し説明したい。

 

 もともと「怪」とは、〈カイ〉〈ケ〉の二つの読み方かたがあり、辞書を引くと、

〈カイ〉

1 不思議な。あやしい。 

2 並外れている。3 不思議な事柄。

〈ケ〉

1 あやしいこと。不思議なこと。怪異。

2 もののけ。たたり。

とある。怖くなくても「常ならざること」であれば「怪」に入るようだ。一方「妖怪」はというと、もう少し複雑である。

 

 「妖怪」とは、もともとは「不可解な現象」「よくわからないもの」を広く指す言葉だった。それが時代 とともに、「得体の知れない、想像上のもの」を取り込み、次第にそちらを指す色あいが強よくなっていく。そして、近代から現代にかけて、私たちは「妖怪= 現象」よりも「妖怪=キャラクター」をより強く意識するようになる。

 

 一般的もしくは学術的な「妖怪」の定義やイメージで、「豊橋妖怪」を捉えようとすると、首をかしげてしまう人も多いだろう。しかし、である。

 

 確実にいえることは、「常ならざること」=「怪」がいつの時代にかここ豊橋で実際に起き、何百年もかけて現代まで語り続けられてきたということである。今回、それらすべてを含んだ新たなカテゴリーを「豊橋妖怪」と名づけ、定義づけた。これには異論のある方もおられると思う。執筆中、常ならざることに度々遭遇したので、多分「豊橋妖怪」たちもこちらに何らかのメッセージ( 異議?)を送ってきているのかもしれない。ここはひとつ、寛大な気持ちで見守っていただけたらうれしい。

 

 本書を通して、みなさんに少しでも「豊橋妖怪」に興味を持っていただければ幸いである。